【11月13日 AFP】ドイツ西部の村リュッツェラート(Luetzerath)に12日、1000人余りの環境活動家が集まり、近郊の露天掘り炭鉱の拡張計画に抗議した。

 リュッツェラートの地下には埋蔵量が豊富な石炭鉱脈が走っている。最後まで立ち退きを拒否していた農家が先月、ついに村を去り、今は若い環境活動家たちだけが残る。村がブルドーザーで破壊されるのを阻止しようと、地上6メートルの木の上に幾つも小屋を設置し、監視と抗議を続けている。

 この村は、化石燃料への抵抗の象徴となっている。12日の抗議デモは、エジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)の参加国に気候変動対策の推進を訴える目的で行われた。

 顔に「石炭をやめろ」とペイントした活動家たちは、抗議のしるしに、黄色い布で大きな「X」マークを草原に描いた。

 欧州の経済大国ドイツは、ロシアのウクライナ侵攻に起因するロシア産天然ガスの供給減少を受けて、休止していた石炭火力発電所の一部再稼働に踏み切った。

 そうした中、オラフ・ショルツ(Olaf Scholz)政権は、独エネルギー大手RWEによるリュッツェラート近郊の炭鉱拡張を許可すると発表。政府とRWEの合意では、近隣の5村は立ち退きを免除されたが、リュッツェラートは免除対象とならず、村の消滅が決定的となった。

 2年前から村で集団生活をしながら抗議を続けてきたフランス人活動家のアルマさんは、「RWEがリュッツェラートの地下の石炭をすべて採掘すれば、ドイツは間違いなく(地球温暖化対策の国際的な取り決めである)パリ協定(Paris Agreement)に違反することになる」と指摘。村は気候変動との闘いの重要拠点だと主張した。

 シンクタンク「ドイツ経済研究所(DIW)」は2021年、リュッツェラートを含む6村を取り壊さなくてもRWEは1億トンの石炭を新規に採掘できると報告している。またドイツ政府は、現在のエネルギー危機下では石炭火力発電の利用を拡大するものの、2030年までに脱石炭を達成するとの目標は維持するとしている。(c)AFP/Lea PERNELLE