【11月19日 AFP】アマゾン(Amazon)に次いで南米で2番目に広大な森林が広がるグランチャコ(Gran Chaco)地方。アルゼンチンとパラグアイ、ボリビアにまたがる100万平方キロの自然林が農業によって、過去四半世紀にわたり徐々に破壊されてきたことはあまり知られていない。

 とげ植物の低木林、疎林、ヤシが生えるサバンナなどが混在する熱帯乾燥林の広範囲に、森林伐採が大きな傷跡を残している。

 グランチャコで1年に伐採される森林の面積は平均約400平方キロ。ピーク時には600平方キロに及んだこともある。

 重機で根こそぎ引き抜かれ、ところどころに横たわっているイナゴマメの木は、タンニンを利用したり、木炭や家具、鉄道の枕木などに使われたりする。密度の高い木材が必要となる枕木での需要も高い。

 アルゼンチン北東部、首都ブエノスアイレスから約1100キロ離れたこの地は、同国の農業における「フロンティア」となっている。

 NGOなどが参加する「アルゼンチン・チャコ地方アグロフォレストリーネットワーク(Chaco Argentina Agroforestry Network)」のイネス・アギーレ(Ines Aguirre)氏は、大豆の遺伝子組み換え技術が登場した90年代にこの地方の開発が始まったと説明する。

 外貨不足のアルゼンチンに不可欠な農産物の輸出は、動植物の多様性を犠牲にして推進されている。

 グランチャコには、アリクイやペッカリー、サンゴヘビ、バク、南米大陸最大のネコ科動物であるジャガーなどが生息するインペネトラブレ(Impenetrable)国立公園がある。特にジャガーは絶滅の危機に直面しており、野生再導入の対象となっている。

 動植物だけではない。自然と共生する先住民も生活の場を奪われてしまう。ここには、ウィチ(Wichi)やクリオロ(Criollo)といった先住民のコミュニティーが存在している。

 最優先すべきなのは「森林伐採を止めること」だとアギーレ氏は強調する。(c)AFP/Nina NEGRON