【11月10日 AFP】(更新)ロシアのセルゲイ・ショイグ(Sergei Shoigu)国防相は9日、軍に対し、ウクライナ南部ヘルソン(Kherson)市から撤退するよう命じた。ウクライナの反転攻勢を受けるロシアにとって大きな打撃となる。

 ロシアのテレビ局は、ショイグ氏がウクライナでの特別軍事作戦を指揮するセルゲイ・スロビキン(Sergey Surovikin)総司令官と開いた協議の様子を放送。スロビキン氏が、ヘルソンから撤退しドニエプル(Dnieper)川左岸に防衛線を構築するという「難しい決断」を提案すると、ショイグ氏は「部隊の撤退を開始せよ」と述べた。

 だがウクライナ側は、ロシアの発表について懐疑的な見方を示している。ミハイロ・ポドリャク(Mykhailo Podolyak)大統領府顧問はツイッター(Twitter)に「ロシアが戦わずにヘルソンから撤退する兆候はない」と投稿。ショイグ氏の命令を「演出されたテレビ声明」と呼び、ロシアの発表が策略である可能性を示唆した。

 ヘルソンは、ロシア軍が2月24日に開始したウクライナ侵攻で初めて占領した主要都市で、現在も同軍の支配下にある唯一の州都となっている。ウクライナ軍はここ数週間、同市に向け進軍し、黒海(Black Sea)沿いの集落を次々と奪還。一方で、ロシアが任命したヘルソン州当局の指導部は、現地から民間人を退避させている。

 ウクライナ軍がヘルソン州を奪還すれば、ロシアが2014年に併合したクリミア(Crimea)半島とロシア本土との間の陸路を断ち切るとともに、アゾフ海(Sea of Azov)への重要な通路を確保でき、ロシア側から大きな戦果を奪うことになる。(c)AFP