■反逆すべき相手は行動を起こさないエリート層

Q:なぜ「絶滅への反逆」を立ち上げたのか。

A:変化を起こしてみせるという決意からだ。「人生でこの問題に取り組まずに、他にやりたいことなどあるだろうか」という思いが強かった。

 団体名を「絶滅への反逆」にした理由は、私たちは今(地球上で)6回目の大量絶滅期にいるからだ。私たちが直面している複合危機は、気候変動、生態系、健康、不平等の危機など多岐にわたり、多くの根本原因がある。私たちが反逆しなければならないのは、十分な行動を取らず、場合によっては私たちを間違った方向に導くエリート層だ。

 気候変動による異常気象はすでに起きている。バングラデシュやパキスタンがその例だ。それに対して世界は「大変だね」と人ごとだ。ひど過ぎる。

「絶滅の反乱」が最初に行ったことの一つは、メッセージ発信の仕方を緊急モードに移行することだった。世の中に、つらく残酷な真実を伝える。そして、なぜそんな状況が起きているのか、どんな対策があるのか、一人一人に何ができるのか、あるいはグループの一員として何ができるのかを伝えていけば、(問題を引き起こしているのは)他の誰でもない自分だという感覚が生まれる。

■問題を先送りさせない

Q:では何が人々の行動を止めているのだろうか。

A:問題があることを伝える指導者がおらず、受け取るメッセージが矛盾していると、人は行動しない。

 私たちに行動させまいとする力も積極的に働いている。知っての通り、気候変動の否定論には多額の資金が費やされている。

 気候変動を否定する動きは完全になくなったわけではないが、次に私たちを阻止するものは何かというと、それは問題を先送りさせようとする動きだ。例えば、私たちが直面している問題はテクノロジーで解決できるとか、すべては消費者の選択次第だとか。中国はどうなんだといった問題のすり替えもそうだ。

 これらはすべて、「こんなことを考えるのはストレスになるから放っておこう」と人々に思わせるための心理的なツールだ。(c)AFP