【11月9日 AFP】イタリア文化省は8日、中部トスカーナ(Tuscany)州で、2000年以上前に作られたブロンズ像20体以上を発見したと明らかにした。温泉地の粘土層に埋まっていたため保存状態は極めて良好だという。

 ブロンズ像は、サンカシャーノデイバーニ(San Casciano dei Bagni)の聖域で崇拝されていた神々をかたどったもの。アポロや健康の女神ヒュギエイアも含まれている。聖域はエトルリア人が設置したもので、その後ローマ帝国に受け継がれた。

 現地では3年前から発掘が行われており、供物や約5000点の金銀銅の貨幣も見つかっている。発掘地は天然の温泉が湧いており、2000年以上前から観光地だった。

 エトルリアの専門家で発掘プロジェクトを率いるヤコポ・タボッリ(Jacopo Tabolli)氏は、今回の発見は、紀元前2世紀から紀元後の1世紀にかけてのブロンズ像が制作された時代の見直しにつながると指摘。この時代の遺物はこれまでテラコッタ製が多く、ブロンズ像の大量発見は「類例がない」と述べた。

 エトルリアはこの時代に制圧され、徐々にローマ帝国に吸収されていった。

 発見された遺物は温泉水に漬かっていたため、エトルリアの有力者一族の名前などエトルリア語やラテン語で刻まれた文字も判読できる状態で残っているという。(c)AFP