【11月8日 CNS】「和を以て貴しとなす」、和合の思想は、中国の優れた伝統文化で、「和」も日本文化の重要な要素だ。伝統文化でも実生活でも、日本では人びとは、いつでもどこでも、この「和」を感じることができる。「和」は日本と中国の伝統文化に共通するものであり、両国が追求する共通の精神的目標でもあると言えるだろう。

 岩波書店の元編集長で、北京外国語大学(Beijing Foreign Studies University)准教授の馬場公彦(Kimihiko Baba)氏は取材に対し、「和」は日本にとって最も重要な価値観・倫理観の1つだと述べた。「和を以て貴しとなす」という思想は、今も日本の政治で貫徹されている。さらに、この理念は日本の民族の特徴として広く浸透してきた。

 日本では、「和」という言葉には2つの意味がある。1つは、対人関係を良好に保ち、争いや対立を避ける「調和」「和睦(わぼく)」だ。もう1つは、戦争をしない、戦争を容認しない、戦争に巻き込まれない「平和」だ。

 日本と中国は長い文化交流の歴史がある。日本は長い歴史の中で、中国文化を吸収し、日本文化を育んできた。日本は、奈良時代には中国六朝から文学、隋からは法制度や仏教を取り入れ、平安時代には唐から詩学を取り入れ、鎌倉時代には宋から禅宗を取り入れ、独自の五山文化を形成した。そして、室町時代には明との交易が盛んに行われるようになった。日本は中国から儒教、仏教、道教、漢字、漢文、漢文学だけでなく、お茶、料理、建築なども取り入れた。遣唐使制度が廃止された平安時代や、鎖国政策がとられた江戸時代にも、中国文化の日本への影響は続いていた。平安時代の文学はまだ漢文が主流であり、江戸時代には江戸儒学が誕生した。

 中国の「和」の文化の価値観の中で、天人合一の宇宙観、協和万邦の国際観、調和と差異の社会的概念、人間の心の調和と善の道徳観は、儒家思想によって特徴づけられる。日本文化は古くから中国文化に深く根ざしており、そこには自然に共通の要素が流れている。

 中日関係においても、「和を以て貴しとなす」という思想は重要な役割を担ってきた。「小異を捨てて大同につく」は、日中国交正常化の際の非常に重要な問題の対処法であり、日中関係を健全かつ安定的に維持するために心に刻むべき座右の銘だ。同時に、問題が起きたときに、立ち戻らなければならない原点でもあり、両国関係の強靱さと活力を取り戻す鍵でもある。したがって、「大同」とは何か、それは「将来の世代のための友情」という信念であり、「協力すれば共に利し、争えば共に傷つく」という共存原則であることを認識することが重要だ。世代を超えた友好を実現するために、両国民は「日中両国は二度と戦わない」と誓い合ったのだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News