■人間の「創意工夫」

 例えば太平洋の350万平方キロの範囲に点在する33の島から成るキリバスは、国土面積は狭いが、世界最大級の排他的経済水域(EEZ)を有している。この海洋主権が維持されていれば、国家は消滅しないと考える専門家もいる。

 オーストラリアやニュージーランドを含む太平洋諸島フォーラム(Pacific Islands Forum)の加盟国は昨年8月、それぞれの海域は「気候変動に関連する海面上昇に伴ういかなる物理的変化によっても縮小されず、適用され続ける」と宣言した。

 一方で、危機にひんした祖国に残り続ける選択肢を模索する人々もいる。

 モルディブのナシード元大統領は、「人間は創意工夫に富んでいるので、このままの場所で海に浮く方法を見つけるだろう」と、浮島型の水上都市の可能性に言及した。

 だが、このような大規模プロジェクトのためのリソースを、島しょ国がどう調達するかは未知数だ。6日にエジプトで開幕した国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)では、地球温暖化による「損失と損害」に対処するための資金調達について議論される。(c)AFP/Amélie BOTTOLLIER-DEPOIS