【11月3日 AFP】カタールのアリ・ビン・サイード・ビン・サミーフ・マッリ(Ali bin Saeed bin Smaikh al-Marri)労相は2日、サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)の大会準備期間中に死亡または負傷した出稼ぎ労働者に対する補償基金の新設を求める声を退け、基金設立の要求は「売名行為」だと批判した。

 マッリ氏は、AFPのインタビューで「国際サッカー連盟(FIFA)主導による二重の補償キャンペーンを求める声は売名行為である」と述べ、「われわれのドアは開いている。われわれは多くのケースに対処し、解決している」と反論した。

 カタールはすでに死亡または負傷した労働者向けの基金を設けているが、国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)」と「ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)」はFIFAに対し、労働者のために4億4000万ドル(約650億円)の基金を設立するよう要求。アムネスティは「すでにネパールやバングラデシュといった国に戻った出稼ぎ労働者の大半は、カタールの現行制度を利用できない」などと指摘している。

 人権団体側はカタールが労働者の死者数を過少報告していると非難しているが、同国政府は、建設現場の事故や夏の猛暑による熱中症などが原因で数千人が死亡したという報道を強く否定している。

 FIFAは基金について「進行中の対話」があるとしているが、カタール政府として出した初めての公式な見解で、マッリ氏は提案は実行不可能だとした。(c)AFP