【11月1日 AFP】イタリア・セリエAのインテル(Inter Milan)は31日、先日のサンプドリア(Sampdoria)戦で、この直前に殺害された悪名高いサポーターに敬意を表すためとして本拠地サン・シーロ・スタジアム(San Siro stadium)の一部スタンドにいたファンを強制退場させたウルトラス(過激なサポーター集団)を非難した。

 前週に欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2022-23)で決勝トーナメント進出を決めたインテルは好調で、リーグ戦でも10月29日のサンプドリア戦に勝利し6位に浮上した。

 しかし、普段はスタジアムで最も声援が大きいことで知られるクルバ・ノルド(Curva Nord、北側スタンド)は静寂に包まれ、ハーフタイムにはウルトラスの有名なリーダーの一人で、犯罪歴のあるビットリオ・ボイオッチ(Vittorio Boiocchi)氏をたたえるため、観客が一斉に退場した。

 クルバ・ノルドの中段にいた一般客たちは、暴力の脅しによって約7500人を収容するスタンドの一画から退場させられたと、続々とSNSに投稿した。

 インテルは発表文の中で「土曜日にサン・シーロのスタンド中段で発生したであろう、あらゆる強要を強く非難する」と記した。

「クラブは、最も気にかけているインテルへの愛や情熱を諦めなければならなかったファンたちに完全な連帯を表する」

 インテルはまた「ファンの権利を守るために法的機関としっかり連携する」と続けた。

 違法薬物の取引で1990年代に20年以上の禁錮刑を科されたボイオッチ氏は、ミラノ(Milan)郊外にある自宅近くで複数回にわたり銃撃され、69歳で亡くなった。

 1970年代半から犯罪歴がある同氏は、インテルの試合でスタジアムへの入場を禁じられていた。(c)AFP