【10月28日 AFP】28日に開幕する米大リーグ(MLB)のワールドシリーズは、米国出身の黒人選手が一人も出場しない1950年以来のシリーズとなる。ヒューストン・アストロズ(Houston Astros)を率いる黒人監督のダスティ・ベイカー(Dusty Baker)監督は、「印象が悪い」状況だとした一方で、ベースボールの多様性を回復する上で新しい世代に期待していると話した。

 アストロズのマイケル・ブラントリー(Michael Brantley)外野手が肩の手術を8月に受けて今季絶望となったことで、同球団とフィラデルフィア・フィリーズ(Philadelphia Phillies)が激突する今季のワールドシリーズでは、両チームとも米国出身の黒人選手が一人もプレーしないことになった。

 選手としてMLBで19シーズンを戦い、指揮官として今年25シーズン目を迎えているベイカー監督は、「野球界として誇りにすべき状況ではない」とし、「印象が悪い。この状況になるのに1年も10年もかからなかったと人々に知らしめることになる」と語った。

 その一方で「だが、明るい兆しもある。ドラフト1巡目指名されたアフリカ系米国人の選手の数から、そう言うことができる(今年のドラフトでは史上初めて上位指名5人中4人が黒人選手だった)。アカデミーも選手を輩出している」と指摘し、「だから、近い将来はもうこれ以上この件について話す必要や、こういう状況がなくなっていることを願っている」と述べた。

 アストロズは昨季のワールドシリーズで、ベイカー監督が旧友と呼ぶ故ハンク・アーロン(Hank Aaron)氏の古巣アトランタ・ブレーブス(Atlanta Braves)に敗れた。

 指揮官として初のワールドシリーズ制覇を目指す中で、今年はアーロン氏が後押ししてくれるかもしれないと期待するベイカー監督は「私はハンクのことが好きで、それは彼も同じだった。彼は私のことと同じくらい、きっと昨年はブレーブスを応援していたのだろう」とし、「今回は私を応援してくれると思う」と語った。(c)AFP