【12月24日 AFP】41年前に当時、米国の大統領だったロナルド・レーガン(Ronald Reagan)氏暗殺を試み、精神障害を理由に無罪判決を受けて、その後34年にわたって病院に入院させられたジョン・ヒンクリー(John Hinckley)氏(67)が今年、裁判所の監視を解除され完全に自由の身となった。

 だが今も、どうしてもかなえられずにいることが一つある。シンガー・ソングライターとしてライブコンサートを開くことだ。

 6月15日、裁判所の監視から完全に解放された同じ日、ヒンクリー氏はニューヨークのブルックリン(Brooklyn)で予定されていた自身の公演がキャンセルとなったことを知った。「非常に悪質な脅迫」が届いているため安全が懸念されるとの理由だった。

 これまでにも何度か同じ失望を味わっている。イリノイ州シカゴ、バージニア州、コネティカット州でのライブも直前にキャンセルされていた。

 愛猫テオと暮らすバージニア州ウィリアムズバーグ(Williamsburg)の公園でヒンクリー氏はAFPに、自分は変わったと強調した。「これまでの41年間、人々は私の負の側面ばかりを見てきましたが、今の私は別人です」

■音楽で人とつながりたい

 ヒンクリー氏は1981年3月30日、首都ワシントンのホテル前でレーガン大統領ら計4人を銃撃。死者は出なかったが、大統領報道官だったジェームズ・ブレイディ(James Brady)氏は身体に障害が残った。

 動機については、映画『タクシードライバー(Taxi Driver)』に出演した俳優ジョディ・フォスター(Jodie Foster)さんの気を引こうとしたと説明。裁判では精神障害を理由に無罪判決を受け、ワシントン市内の病院に30年以上入院していた。

 2016年9月に退院後は、高齢の母親(すでに死去)とウィリアムズバーグで暮らすことを義務付けられ、行動やインターネット上での活動は6月まで制限・監視されていた。

 それでもヒンクリー氏のツイッター(Twitter)のフォロワーは5万人を超え、音楽配信サービス、スポティファイ(Spotify)の月間リスナー数は5000人近くに上る。

 独学で音楽を演奏するようになったヒンクリー氏は、ライブで観客とつながることを切望している。「あなたの音楽を聴いて一日を乗り切ることができましたと書いてくれる人がいるんです」