【10月21日 AFP】エストニアなどバルト3国の首脳は21日、ウクライナに侵攻したロシアの指導部を「侵略犯罪」で裁く特別法廷の設置に向けて動くよう、欧州連合(EU)加盟各国に呼び掛けた。

 国際刑事裁判所(ICC)は、ロシアがウクライナで戦争犯罪を行った可能性があるとして捜査を進めている。ウクライナ政府は、ロシア指導部をより早く訴追できるとして、別の法廷を設置して「侵略犯罪」でも裁くよう求めている。

 エストニアのカヤ・カラス(Kaja Kallas)首相はベルギー・ブリュッセルで開かれたEU首脳会議で、「われわれは侵略犯罪という行為に対しての法的な対応策や、訴追するために別個の法廷をどう設置するのかを話し合う必要がある」と述べた。

 カラス首相は、「戦争犯罪はICCが訴追するが、侵略犯罪は別個の法廷でのみ訴追可能だ。EUはこれを主導できる」と訴えた。ラトビアのクリシュヤーニス・カリンシュ(Krisjanis Karins)首相も、法廷の設置を訴えた。

 EU議長国のチェコは、特別法廷設置への動きを支持する考えを示しているが、EU内には慎重論もある。

 EU欧州委員会(European Commission)のディディエ・レインデルス(Didier Reynders)委員(司法担当)は先週、「まずは既存の枠組みを最大限活用する」ことが必要だとし、ICCの捜査を見守る考えを示した。(c)AFP