【10月20日 AFP】ドイツ人実業家で、サッカーの欧州スーパーリーグ構想を推進する企業の最高経営責任者(CEO)に就任したベルント・ライヒャート(Bernd Reichart)氏は、欧州サッカー界は未来を再構築するために話し合いの場を持たねばならないと述べつつ、現行制度の下では「持続不可能なものになりつつある」と警告した。

 メディア企業RTLのグループ会社で代表を務めていた48歳のライヒャート氏は19日、A22スポーツ・マネジメント(A22 Sports Management)のトップに就任した。

 欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)に取って代わることを目的とした12チーム制の欧州スーパーリーグ構想が失敗に終わってから1年半が経過する中、ライヒャート氏はAFPに対し「欧州サッカー界にはその将来についての率直かつ開かれた対話が必要」とコメントした。

「サッカー界は自らでは解決できない問題に直面している」

「欧州サッカーは世界のスポーツ界で、議論の余地のないリーダーシップを失いつつある。欧州のクラブサッカーは、毎週世界の舞台で最高のサッカーを提供することができておらず、潜在能力を発揮できていない」

「若い視聴者は、ますます代わりになる他の娯楽に移行している」

 ライヒャート氏は、クラブや選手、監督、ファン、メディア、競技団体など広範囲にわたるサッカー関係者に訴えていくつもりだ。

「対話は実現可能だと思う。(現状が)変わる可能性があるという認識があるのは良いことで、クラブは自らの未来を形成し、新たな風景がどんなものになり得るか考える準備をするべきだ」

「サッカー界の生態系は持続不可能なものになりつつある。(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的な大流行)がこの傾向を加速させ、システムは崩壊している」

 欧州サッカー界の再編を目的に、2021年4月にいくつかのトップクラブによって立ち上げられた欧州スーパーリーグは、多くのサポーターからの反対や、政治的措置という脅威にさらされる中で頓挫することになった。

 欧州のトップクラブによる閉鎖的な大会になるという展望は特にファンを激怒させたが、新たなアプローチによってもはやそのようなことは起きないとライヒャート氏は語った。

「重要なメッセージの一つは、(クラブが欧州スーパーリーグに)永久に名を連ねるのは議論から外れているということ。競技の実績に基づく開かれた大会を基本にして話し合いを行いたい」

 スペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)とFCバルセロナ(FC Barcelona)に、イタリア・セリエAのユベントス(Juventus)を加えた3クラブは、欧州スーパーリーグを推進し続けている。

 欧州サッカー連盟(UEFA)による支配的地位の乱用疑惑をめぐる争いは、欧州司法裁判所(ECJ)によって来年の初めまでに判断が下される予定となっている。(c)AFP/Jean DECOTTE