【10月20日 AFP】英国のスエラ・ブレイバマン(Suella Braverman)内相が19日、辞任した。規則違反が理由とされるが、辞表の中でリズ・トラス(Liz Truss)首相を痛烈に批判。経済失政に揺れるトラス政権の存続がいっそう危ぶまれている。

 ブレイバマン氏は、自身が同僚に公文書を送る際に個人の電子メールアカウントを使用したことで、政府規則に違反したと説明。「私は間違いを犯した。責任を取り、辞任する」と表明した。

 ブレイバマン氏の姿勢は、経済政策の失敗を受けてクワジ・クワーテング(Kwasi Kwarteng)財務相を更迭しつつも自身の辞任は拒否するトラス首相とは対照的なものとなった。

 ブレイバマン氏は、トラス首相の公約不履行に対する「深刻な懸念」を表明。「自分たちが間違いを犯していないふりをし、周囲にもそれが露呈していないかのようにふるまって、物事が魔法のようにうまくいくことを願うのは、真剣な政治ではない」と批判した。

 ブレイバマン氏は、起用からわずか43日で内相の座を降りた形となった。トラス氏は後任に、与党・保守党の重鎮グラント・シャップス(Grant Shapps)前運輸相を任命した。シャップス氏は先日の党首選で、トラス氏の対立候補リシ・スナク(Rishi Sunak)氏を支持。新財務相に任命されたジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)氏も党首選ではスナク氏を支持しており、スナク派の閣僚は2人目となった。

 トラス政権は、先月発表した肝いりの減税計画がとん挫したことで、危機に陥っている。だがトラス氏は19日、同計画の撤回後初となる議会での答弁で、議員のやじを浴びながらも「私はファイター(闘士)であり、クイッター(すぐあきらめる人)ではない」と述べ、辞任を否定した。(c)AFP