【10月20日 AFP】韓国で行われたスポーツクライミングの大会で、女性の髪を隠すスカーフ「ヒジャブ」を着用せずに出場したイラン女子代表のエルナズ・レカビ(Elnaz Rekabi)選手が19日に帰国し、空港で支持者から「英雄」として迎えられた。

 スポーツ選手を含むすべての女性にヒジャブ着用を義務付けているイランでは、服装規定違反の疑いで逮捕されたマフサ・アミニ(Mahsa Amini)さんの死をめぐる女性主導のデモが1か月以上継続している。そうした中、ヒジャブを着用せず試合に臨んだレカビ選手は、当局の怒りを買ったとみられている。

 レカビ選手は帰国に先立ち、自身のインスタグラム(Instagram)アカウントへの投稿で、ヒジャブを着用しなかったのは意図的ではなかったとして謝罪。首都テヘランのイマーム・ホメイニ国際空港(Imam Khomeini International Airport)に到着した際も、同様の説明を繰り返した。だが活動家は、こうしたコメントがイラン当局からの圧力を受けて出されたものであると懸念している。

 空港の外にはレカビ選手の支持者が多数集まり、「エルナズは英雄だ」や「よくやったエルナズ」との声援や拍手を送ったり、スマートフォンでその瞬間を撮影したりした。同選手を乗せていると思われる車が空港を去る際にも声援と拍手は続いた。中にはヒジャブを着用していない女性もいた。

 米ニューヨークに拠点を置く人権団体イラン人権センター(CHRI)は、レカビ選手が「英雄の歓迎」を受けたとする一方で、「身の安全をめぐる懸念は残っている」と指摘している。(c)AFP/Stuart WILLIAMS