■前衛さに「世界が衝撃を受けた」

 高田氏、三宅氏、そして8月に亡くなったオートクチュールの先駆者、森英恵(Hanae Mori)氏はパリで自身のクリエーションを追求し、多大な影響力を持つようになった。そうした先達によるともしびを絶やさず今も掲げているのは、現在79歳の山本耀司(Yohji Yamamoto)氏と、「コムデギャルソン(Comme des Garçons)」創始者で80歳の川久保玲(Rei Kawakubo)氏だ。

 文化服装学院の相原幸子(Sachiko Aihara)学院長は2人が世界のモード界を揺るがした80年代当時について、前衛的な日本のデザインに「世界が衝撃を受けた」と評した。山本氏が初めてモノトーンのコレクションを発表すると、在校生たちが一斉に黒い服を着るようになったと振り返った。

 しかし今は「すぐにデザイナーがコレクション発表したから、それを皆、全員で着るような時代ではなくなってきた」。

 それは才能の問題ではなく、服が飛躍的に多様化したからだという。また、「これからは、クリエーションだけじゃなく、ビジネスも勉強した学生じゃないと世界で通用できないと思う」とも話した。

 スタイリストとして長年活躍し、「マディソンブルー(MADISONBLUE)」を立ち上げたデザイナーの中山まりこ(Mariko Nakayama)氏は、コムデギャルソンを初めて着た時のことを「かっこよくてしびれる感覚」だったと表現する。

 しかし、中山氏も今の業界は巨匠たちが活躍した時代とは違うという見方に同意する。例えば「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」のデザイナーを務めた故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)氏のように、クラシックなスタイルやパターンに現代性を加えるなど「エディットの時代になった」と語った。