【12月4日 AFP】日本のモード界を担う人材を輩出してきた東京・文化服装学院(Bunka Fashion College)。教室では、学生たちが一心不乱にはさみやミシンを使う音だけが響いている。高田賢三(Kenzo Takada)氏のような卒業生に続いて世界的な成功を収めようと、誰もが真剣だ。

 高田氏と三宅一生(Issey Miyake)氏の死によって、1970~80年代に日本人デザイナーが仏パリのファッションショーに革命を起こして以来続いてきた一時代は終わりを告げた。

 同学院卒業生の一人、森川拓野(Takuya Morikawa)氏(40)は、ユニークな素材や技法を駆使し、2年前にパリ・ファッションウィーク(Paris Fashion Week)のデビューを果たした。

 2013年に自身のブランド「TAAKK(ターク)」を立ち上げる前、森川氏は「イッセイミヤケ」に8年間勤め、ショー向けのコレクションやプリーツ技術にフォーカスしたライン「プリーツプリーズ(Pleats Please)」だけでなく、和紙すきや稲刈りまで学んだ。

 森川氏は三宅氏の死を惜しみつつ、若い世代のデザイナーたちを鼓舞した。

「影響がないように、自分たちは頑張らないといけないと思う。亡くなって、(業界が)変わっているようでは、僕らの仕事がだめだということ」

 巨匠たちからのバトンを受け取った中には、同じく文化服装学院の卒業生で、1990年代に「ア・ベイシング・エイプ(A BATHING APE)」で一躍有名になったNIGOこと長尾智明(Tomoaki Nagao)氏もいる。昨年、新型コロナウイルスに感染して2020年に亡くなった高田氏のブランド「KENZO」のアーティスティック・ディレクターに就任した。

 また仏デザイナー、ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)氏からクチュールコレクションの第1弾に抜てきされたゲストデザイナー、阿部千登勢(Chitose Abe)氏のブランド「sacai(サカイ)」も国際的に成功している日本のブランドだ。