【10月21日 AFP】ニュージーランドで17日、鳥のビューティーコンテスト「バード・オブ・ザ・イヤー(Bird of the Year)」の投票が始まった。ただ、過去2度優勝したカカポ(フクロウオウム)が候補から外されたため、ファンからは怒りの声も上がっている。

 カカポはニュージーランドの固有種。現在確認されている生息数はわずか252羽で、絶滅が危惧されている。夜行性で、重さは最大4キロまで成長する。

 カカポは2008年と20年のコンテストで優勝。21年は2位につけ、今年も優勝候補と目されていた。

 主催者はしかし、人気が劣る鳥にもチャンスを与えたいとして、今年の候補からカカポを外した。

 環境団体「フォレスト・アンド・バード(Forest and Bird)」の広報担当者は、「カカポを外すという決定は簡単ではなかった」とAFPに話した。「カカポが熱烈に愛されているのは分かっている。しかし『バード・オブ・ザ・イヤー』の趣旨は、深刻な危機に直面する種も多い在来種全体への関心を高めることにある」と説明した。

 その上で、カカポが出場しないことにより、他の鳥が「スポットライトを分かち合う」ことを期待すると語った。

 このコンテストをめぐっては、ロシアから大量の不審投票が行われたり、オーストラリア人が堂々と不正投票しようとしたりするなど、近年、物議をかもしていた。

 昨年は、マオリ語でペカペカトウロアと呼ばれるオナガコウモリが優勝。今年はケア(ミヤマオウム)や、「太った沼のメンドリ」とも呼ばれるタカへ(クイナ科の一種)への投票を呼びかけるフェイスブック(Facebook)ページが立ち上げられている。

 カカポ外しにファンからは不満の声が上がっている。あるネットユーザーは、コンテストはさえない鳥に「参加賞」を与えるものになり下がったと反発。別のユーザーは「偉大な国民的コンテストの品位は将来にわたって損なわれた」と嘆いた。

 自然保護局のカカポ専門家はAFPに対し「ニュージーランドには素晴らしい鳥が数多く存在するが、残念なことに大半は絶滅の危機にひんしている」と指摘。「コンテストで優勝すると大きく報道される。市民が自然保護に関心を寄せるようになるなら、何であれ歓迎する」と語った。

 今年の「受賞鳥」は31日に発表される。(c)AFP/Ryland JAMES