【3月21日 AFP】ニュージーランドに生息するミヤマオウムには、人間のつられ笑いのように仲間に伝染する「遊びたくなる鳴き声」があるという研究結果が21日、米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された論文で明らかになった。

 ニュージーランド南島の山脈サザンアルプス(Southern Alps)に生息するミヤマオウムは知能が高く、いたずら好きであることがよく知られており、「山の道化」の異名で呼ばれることも多い。だが今回発表された論文によると、ミヤマオウムを道化に例えたイメージはあながち擬人化ともいえないようだ。

 この研究が行われたときにオークランド大学(University of Auckland)の博士課程で動物行動学を学んでいたオーストリア人研究者、ラウル・シュビング(Raoul Schwing)氏は、ミヤマオウムには他の発声とは異なる「遊びの鳴き声」があり、この鳴き声を聞いた他のミヤマオウムは自然発生的に遊び始めるという。

 シュビング氏によれば、ミヤマオウムは周りに遊んでいる仲間がいないときでも、この鳴き声を聞くと遊び始めたという。「それまで遊んでいた鳥が他にいなくても、(この鳴き声をきっかけに)少なくとも何羽かが自発的に遊び始めたという事実から考えられるのは、人間のつられ笑いと同様、この鳴き声はそれを聞いた鳥に対して、ふざけたくなるような感情効果をもたらすということだ」とシュビング氏は述べた。こうした発声による「感情の伝染」はこれまでにチンパンジーやネズミで確認されているが、哺乳類以外ではミヤマオウムが初めてだという。

 シュビング氏は、この鳴き声は人間の「つられ笑い」に類似しており、さらなる研究が必要だと述べ、また人間は自分たちが思いたがるほどユニークな存在ではないことを気付かせるものだと指摘。「動物にも笑うことができるなら、私たちは動物と大して違わない」と語った。(c)AFP