【10月18日 AFP】英国のジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)財務相は17日、市場の混乱を生んでいた減税計画を「ほぼすべて」撤回すると発表した。減税策の撤回は3度目で、リズ・トラス(Liz Truss)氏の首相としての立場が危ぶまれている。

 英政府は、減税による損失分を国債発行でまかなうとしていたが、経済学者は計画の実施には600億ポンド(約10兆円)の資金が不足していると推定していた。

 解任されたクワジ・クワーテング(Kwasi Kwarteng)氏の後任として14日に着任したばかりのハント財務相は、減税の撤回により年間約320億ポンド(約5兆4000億円)を確保できるとした他、歳出削減の可能性にも言及。政府は市場を制御できないとしつつも、今回の措置によって財政不安を緩和できると強調した。

 ハント氏はテレビ演説で、3週間前に発表された減税策の「ほぼすべてを撤回する」と宣言。所得税の最低税率引き下げを取りやめるほか、目玉政策であるエネルギー価格凍結の終了時期を2024年末から来年4月に前倒しするとした。また、株主配当課税の引き下げや、観光客向けの免税、酒税の税率凍結も撤回した。

 トラス首相はすでに、富裕層と企業を対象とした減税措置を撤回していた。与党・保守党内では、先月6日に就任したばかりのトラス氏の手腕に対する失望が広まっており、英メディアは党幹部が同氏の失脚を画策していると報じている。(c)AFP/Roland JACKSON