【10月11日 AFP】今年のノーベル賞(Nobel Prize)では、科学部門の女性受賞者が1人のみ、非科学部門を含む全受賞者が欧米の出身という結果となったが、賞主催者は10日、受賞者の顔触れは以前より多様化していると説明した。

 ノーベル化学賞(Nobel Prize in Chemistry)、物理学賞(Nobel Prize in Physics)、経済学賞(Nobel Prize in Economics)を授与するスウェーデン王立科学アカデミー(Royal Swedish Academy of Sciences)のハンス・エレグレン(Hans Ellegren)事務局長はAFPの取材に対し、多様性の改善を「喜んでいる」と表明。

「この5年間で4人の女性が化学賞を受賞した。これは、これまで化学賞を受賞した女性の半数に当たる」と指摘し、「物理学は極めて男性優位の学術分野だが、2人の女性受賞者がいる。経済学でも1人いる」と述べた。

 今年の化学賞は、米国のバリー・シャープレス(Barry Sharpless)、デンマークのモーテン・メルダル(Morten Meldal)両氏の男性2人に加え、米国のキャロライン・ベルトッツィ(Carolyn Bertozzi)氏が共同受賞することが決まり、科学分野で唯一の女性受賞者となった。

 エレグレン氏によれば、ノーベル賞の科学部門は数十年前の研究成果に対して授与されることが多く、受賞者の顔触れは女性研究者が少なかった当時の科学界を反映したものになる。

 今年の女性受賞者は2人のみで、もう一人は文学賞(Nobel Prize in Literature)に輝いたフランス人作家のアニー・エルノー(Annie Ernaux)氏だった。

 今年の受賞者は地理的にも偏っており、欧州連合(EU)域内出身者が5人(フランス2人、オーストリア、デンマーク、スウェーデンが各1人)、米国人が6人含まれていた。

 平和賞(Nobel Peace Prize)に選ばれたベラルーシの反体制派アレシ・ビャリャツキ(Ales Bialiatski)氏は富裕国以外の出身者で唯一の受賞者となった。

 エレグレン氏は、今後は地理的な多様性が増すだろうとの見解を示した。(c)AFP