【10月10日 AFP】インド東部ビハール(Bihar)州で、少なくとも9人を殺害し、「チャンパラン(Champaran)の人食い」と呼ばれたトラが警察により射殺された。当局が9日、明らかにした。

 3~4歳の雄とみられるトラは、同州チャンパランのバールミーキ・トラ保護区(Valmiki Tiger Reserve)の外れに出没。過去1か月で少なくとも6人を殺した。

 トラは射殺できる「人食い」に指定されていた。警察は鎮痛剤を使おうとしたがうまくいかなかったという。

 地元警察のキラン・クマール(Kiran Kumar)署長は「8日午後、二つのチームが2頭のゾウに乗って森に入り、三つめのチームがトラが出てくるとみられる場所で待機した。5回発砲し、トラを殺した」とAFPに語った。

 クマール氏によると、作戦には狙撃手8人と森林局員約200人が動員され、約6時間かかった。地元の村人もブリキ缶をたたいて音を出したという。

 当局は、辺りにはサトウキビ畑が広がっており、トラが姿を隠したり、住民や家畜を襲いやすくなったりしたとしている。

 報道によると、5日夜には少女(12)がベッドから引きずり出され、殺された。

 8日には女性1人と8歳の息子が犠牲となっていた。

 保護区周辺の貧しい村々の住民は、最初にトラの攻撃を受け10代の若者が負傷した5月以降、夕方を過ぎると外出を控えていた。

 住民ラム・キスン・ヤダブさんは「トラは怖かったが、牛に餌をやらなければいけないので、家に閉じこもっているわけにはいかなかった」と主要紙ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)に語った。

 トラがようやく射殺され、住民は喜んでいる。

 自然保護活動家は、インドの一部地域で人間と動物の衝突が増加しているのは、森林周辺や、ゾウやトラといった野生動物の重要な通り道周辺で、人間の居住地が急速に拡大しているのが原因だと指摘している。(c)AFP