【10月7日 AFP】イランで続くデモに参加した後に死亡した16歳の少女の母親が6日、国外に拠点を置く反政府系メディアに送った動画で、娘は当局によって殺害されたと主張した。当局はさらに、母親に対し公の場で虚偽の説明をするよう脅したという。

 イランでは先月、クルド系女性のマフサ・アミニ(Mahsa Amini)さん(22)が、同国の女性に課されている厳格な服装規定に違反したとして、「道徳警察」に逮捕された後に死亡。これを受け女性主導の抗議運動が全土で巻き起こり、人権団体によると治安当局の弾圧により数十人が死亡している。

 ニカ・シャカラミ(Nika Shahkarami)さん(16)は先月20日、首都テヘランで行われたデモに参加するために出かけた後、行方不明になった。家族はその10日後、ニカさんが遺体で発見されたことを知らされた。

 おばのアタシュ(Atash Shahkarami)さんはソーシャルメディアへの投稿で、ニカさんの遺体は17歳の誕生日になるはずだった今月3日に故郷の西部ホラマバード(Khorramabad)に埋葬される予定だとしていた。だが国外のペルシャ語メディアによると、当局は遺族による埋葬を許さず、ホラマバードから数十キロ離れた村に遺体を秘密裏に埋葬。アタシュさんはおじと共に身柄を拘束された。

 アタシュさんはその後、テレビに出演し、ニカさんはビルから「突き落とされた」と説明。司法当局は、ニカさんの死はデモとは無関係だと主張した。

 だがニカさんの母ナスリン(Nasrin Shahkarami)さんは、チェコに拠点を置く米国資本のペルシャ語放送局ラジオ・ファーダ(Radio Farda)が6日にインターネット上で公開した動画で、アタシュさんのテレビ出演時の発言は当局に強要されたものだったと証言。鑑識結果をまとめた報告書では、ニカさんが「その日のうちに、頭部への度重なる打撲傷で死亡した」と結論付けられていると語った。

 ナスリンさんは、自分の元には当局から何度も電話がかかってきているが、応答を拒否していると説明。だが当局は親族らに対し、「ニカの母親が表に出て、われわれの希望通りにつくったシナリオを認めないのなら、あれこれ措置を取る」と脅迫したという。(c)AFP