【10月4日 東方新報】中国で半導体を開発・製造する企業の破綻が続いている。企業情報データバンク「企査査(Qichacha)」によると、解散・廃業した半導体関連企業は2017年が461社、2018年は715社、2019年が1249社、2020年が1397社、2021年が3420社と年々増加。今年は1~8月で3470社に上り、昨年1年間の倒産件数を早くも超えた。

 中国では2020年に2万3100社、2021年に4万7400社が半導体産業に新規参入している。その分、淘汰(とうた)される企業も増えているだけとは言えず、中国メディアは半導体産業が「厳冬期」を迎えていると報じている。

 米国のデータ分析・調査会社ピッチブック・データ(PitchBook Data)によると、中華圏の上半期のベンチャー投資は286億ドル(約4兆1419億円)で、前年同期の560億ドル(約8兆1099億円)から半減。半導体の開発・製造に必要な多額の開発資金が新興企業に回ってこないのが実情だ。さらに米中関係の対立が長引く中、米国は8月、半導体や電子機器の設計作業を自動化する「EDA(IC設計自動化ソフトウエア)」や人工知能(AI)向けハイエンドチップなどの中国への輸出規制を決定。まさしく内憂外患の苦境にある。

 経済成長著しい中国にとって最大のアキレス腱(けん)が半導体だ。中国にとって集積回路(IC)は最大の輸入品目となっており、輸入額は第2位の石油類の約2倍に上る。海外依存脱却を目指す中国政府は、2025年までに半導体自給率を70%にする目標を掲げている。だが2019年の中国半導体市場において国内で製造されたICは16%にとどった。海外企業の中国工場や子会社を除くとわずか6%だ。

 中国政府は新エネルギー車(NEV)やAI機器、スマートフォンなどを、経済をけん引する成長産業にする方針だが、いずれも「産業のコメ」といわれる半導体が欠かせない。半導体産業では日本や米国、ドイツ、オランダ、韓国、台湾などの企業がそれぞれ得意分野を持っているが、半導体は非常に複雑なため一国ですべてを製造できる国はないと言える。中国が「自立」を図るためにはさらなる先端技術の導入や人材育成が必要で、中国の半導体産業は正念場に立たされている。(c)東方新報/AFPBB News