【9月29日 AFP】イランは28日、イラク北部のクルド人自治区をミサイルと無人機で攻撃し、9人が死亡した。イランは、同自治区のクルド人武装勢力が自国内の騒乱を扇動していると非難していた。

 イランでは16日、服装規定などを取り締まる「道徳警察」に逮捕されたクルド系イラン人女性マフサ・アミニ(Mahsa Amini)さん(22)が死亡したことを受け、各地で大規模な抗議行動が発生。デモは12夜にわたり続き、治安当局の弾圧により多数の参加者が死亡している。

 イラン革命防衛隊(Iranian Revolutionary Guard Corps)は、イラクのクルド人勢力が「北西部からイランを攻撃して同国に侵入し、不安と暴動を扇動して混乱を広げている」と非難。イランは数日前から越境攻撃を繰り返していたが、これまで死傷者は出ていなかった。

 AFP特派員は、同自治区のスレイマニヤ(Sulaimaniyah)郊外で煙が上がり、救急車が現場に駆け付ける中、住民が避難する様子を目撃した。

 同自治区の中心都市アルビル(Arbil)の病院を訪れ負傷者を見舞った自治政府のサマン・バルザンジ(Saman al-Barazanji)保健相は、28日に行われたミサイルと無人機による攻撃で9人が死亡、32人が負傷したと説明。地元高官はこれに先立ち、死者1人を含む複数の民間人が死傷したとAFPに語っていた。

 イラク政府はイラン大使を呼び出し抗議。国連イラク支援ミッション(UNAMI)はツイッター(Twitter)への投稿で、「ミサイル外交は壊滅的な結果をもたらす無謀な行為だ」と非難した。米国も、攻撃を「強く非難する」と表明し、さらなる攻撃を行わないようイランに警告した。(c)AFP