【9月24日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は23日、大麻の取り扱いを見直す提案を退け、今後も禁止薬物リストに残す決定を下した。

 陸上女子短距離のシャカリ・リチャードソン(Sha'Carri Richardson、米国)が検査で陽性反応を示して東京五輪出場を逃す要因になった大麻について、昨年WADAは禁止薬物リストからの除外を求められた。大麻の取り扱い再考を求める人の中には、ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長もいた。

 しかしながら、WADAはこの日豪シドニーで開かれた理事会の後、大麻の主な精神活性成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)をリストに残すことを決定したと発表した。

 WADAによると、一つの物質が少なくとも三つの基準のうち二つを満たした場合に禁止薬物として指定される。それらの基準には、パフォーマンスを向上させる可能性があること、アスリートにとって健康上のリスクがあること、そしてスポーツ精神に反することが含まれる。

 一方、オピオイド系の強力な鎮痛薬であるトラマドール(Tramadol)も、2024年1月1日からWADAの禁止薬物リストに入ることが決まった。

 トラマドールは2019年から国際自転車競技連合(UCI)の禁止薬物に指定されており、コロンビア人選手のナイロ・キンタナ(Nairo Quintana)は、この物質に2度陽性反応を示したとして、今年のツール・ド・フランス(2022 Tour de France)で記録した総合6位の成績を取り消された。(c)AFP