【9月23日 AFP】韓国大統領府は22日、尹錫悦(ユン・ソンニョル、Yoon Suk-yeol)大統領が米国を侮辱する発言をしたとされる問題について、誤解だと釈明した。しかし、国民の理解は得られず逆に不信感を強める結果となった。

 尹氏は訪問先の米ニューヨークでジョー・バイデン(Joe Biden)大統領主催の国際会合に出席した際、米議員らを侮蔑する表現を用いて側近に話し掛ける瞬間を映像に捉えられ、非難を浴びている。

 尹氏は、感染症対策に取り組む基金への増資を検討する会合で米国が60億ドル(約8500億円)の出資を表明した後の記念撮影の時に「こいつらが議会で可決しなかったら、バイデンのクソメンツは丸つぶれだな」と側近に韓国語で話し掛けている。

 この映像は韓国で一気に拡散された。ユーチューブ(YouTube)では投稿から1日足らずで再生回数が約500万回を突破し、韓国語ツイッター(Twitter)では尹氏が使ったとされる罵倒語がトレンド入りした。

 しかし、韓国大統領府の金恩慧(キム・ウンヘ、Kim Eun-hye)報道官は22日、ニューヨークで会見し、尹氏に「米国について話したり、『バイデン』という言葉を口にしたりする理由はなかった」と釈明。尹氏が実際に言ったのは「バイデン」ではなく音が近い韓国語であり、米国ではなく韓国の議員について話していたと主張した。

 与党「国民の力」の尹相現(ユン・サンヒョン、Yoon Sang-hyun)議員は「文化放送(MBC)は掛け替えのない米韓同盟を傷つけた報道の重い責任を負うべきだ」とフェイスブック(Facebook)に投稿。この件を最初に報じた文化放送を起訴すべきだと主張した。

 一方、ネット上では、政府の対応に疑問を呈する声が相次いでいる。

 ユーチューブのコメント欄には「大統領府がこんな言い訳を思い付くなんて、赤っ恥もいいところだ。韓国の子どもたちにも顔向けできない」「動画を10回再生したが、間違いなく『バイデン』と言っている」といったコメントが寄せられた。

 野党「共に民主党」の田載秀(チョン・ジェス、Chun Jae-soo)議員は23日、ラジオ局のインタビューで、大統領府が尹氏の発言を否定したことは、国民が「聴覚障害者」だと言っているようなものだと非難した。

 尹氏の支持率は低迷しており、23日に発表された最新の世論調査では28%だった。(c)AFP/Kang Jin-kyu