【9月20日 AFP】世界のスポーツ界にとってアフリカは未開の巨大市場であり、大規模な投資が行われれば同大陸にルーツを持つ数千人のアスリートが世界レベルで活躍する準備ができていると、業界リーダーやスター選手が指摘している。

 米ニューヨークで開かれた国連総会(UN General Assembly)関連イベントの参加者は19日、アフリカのスポーツを大いに活性化させ、サッカーやバスケットボール、さらにはアメリカンフットボールのトップリーグへ若手選手を呼び込むためには、政府と民間のさらなるパートナーシップが必要であるとの見解を示した。

 この中で、同国プロバスケットボール協会(NBA)のアダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーは、アフリカはスポーツの潜在能力にあふれていると称賛し、NBAでプレーする選手の10パーセント以上が同大陸出身、もしくは両親が同大陸にルーツを持っていると述べた。

 さらに、アフリカの若手世代について、「NBAや米女子プロバスケットボール(WNBA)で選手が継続的に発掘され、育成され、成長を遂げれば、彼らは最高レベルの舞台でプレーできるようになる」と話し、現地における若手選手のトレーニングプログラムを拡大する利点を述べた。

 シルバー氏はまた、「文字通り数十億ドルに及ぶ必要な投資」を引き出すためには、アフリカのスポーツが経済的に採算が取れると見なされる必要があるとも訴えた。

「素晴らしいビジネスパーソンにインフラへの投資を説得するためには、これが本物のビジネスであること、すなわち長期にわたってリターンがあることを示さなくてはならない」

 米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)でも、アフリカの選手が存在感を増すようになっている。現役時代にスーパーボウル(Super Bowl)制覇を経験し、ガーナやナイジェリアなどの地域から新しい才能を発掘するパイプラインを拡張するため、同リーグのプロジェクトリーダーを務めているオシ・ウメニーラ(Osi Umenyiora)氏によると、NFLでは現在100人以上の選手がアフリカ出身であるという。

 アフリカサッカー連盟(CAF)のパトリス・モツェペ(Patrice Motsepe)会長は、欧州および米国のリーグとのつながりを「重要」だとしている一方で、先日発足が発表されたアフリカ・スーパーリーグ(Africa Super League)によって、「アフリカサッカー界に巨額の資金が集まり、最も賢く最も才能に恵まれたアフリカの若手選手に給与を支払い、彼らを大陸につなぎ止めることができるようになる」と述べた。

 7月に開催された第18回世界陸上オレゴン大会(World Athletics Championships Oregon 22)で女子100メートルハードルを制し、ナイジェリアに初めて世界陸上の金メダルをもたらしたトビ・アムサン(Tobi Amusan)は、アフリカでトレーニング施設などのインフラ設備が不足していることが、アスリートの国外移住につながっていると警告した。

 自身も米テキサス州を練習拠点にしているアムサンは、AFPの取材に対して、「他の地域に行くなと言っているのではない」とした上で、「それでも、政府や民間がアフリカにこうした設備を導入すれば、私たちは母国の練習拠点にとどまれるし、選手たちが他の国へ流出することはなくなる」と語った。(c)AFP/Michael Mathes