【9月17日 AFP】英国のチャールズ国王(King Charles III)の心を長年、捉えて離さない場所がルーマニアにある。絵のように美しいトランシルバニア(Transylvania)地方のビスクリ(Viscri)村だ。

 自然を愛する環境保護主義者のチャールズ国王は、1998年に英皇太子として初めてこの地を訪れて以来、緑の丘にたたずむ色鮮やかな家々や馬車が行き交う未舗装の通りがある村の風景に魅了されている。

 何度か訪問した後、2006年にはビスクリ村で最初の家を購入した。地元住民全員が知っている青い壁の家だ。

 当初、別荘として使われていたこの館は、今ではチャールズ国王が情熱を注ぐ植物学の博物館となっている。

 トランシルバニア地方の文化遺産保護に取り組むミハイ・エミネスク財団(Mihai Eminescu Trust)のキャロライン・フェルノレンド会長は「国王陛下はここ数年はお越しになっていませんが、多くの功績を残されています」と語った。

 同財団はチャールズ国王の財政支援を受けて、トランシルバニア地方のいくつかの文化遺産を伝統的な工法と資材を用いて改修・保存している。

 チャールズ国王はまた植物のアシを用いた廃水処理施設にも出資し、環境保護に貢献している。

 ビスクリ村の人気が高まるにつれて、ゲストハウスもあちこちにできた。欧州連合(EU)内の貧困国とされるルーマニアの地方でよく見かける廃村とは対照的だ。

 チャールズ国王は自らについて、アイルランド人作家ブラム・ストーカー(Bram Stoker)の吸血鬼小説「ドラキュラ(Count Dracula)」のモデルとなった15世紀ルーマニアのワラキア公国君主、ヴラド3世(Voivode Vlad III)の子孫であると主張している。また、トランシルバニアは「私の一部だ」とコメントしたこともある。(c)AFP/Herve BOSSY