【9月16日 AFP】終わりのないテレビ報道、息を切らして一挙手一投足を批判するアナリスト、解説だらけの新聞紙面── 。英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の死は、世界中のメディアであらゆる角度から報じられている。

 だが専門家はAFPに、今回のような包括的な報道が続けばさらに多くの人がニュース自体を見ることをやめてしまい、業界を取り巻く低迷を悪化させる恐れがあると指摘する。

 英オックスフォード大学(Oxford University)のロイター・ジャーナリズム研究所(Reuters Institute for the Study of Journalism)のニック・ニューマン(Nic Newman)氏は「包括的報道に対する批判はすでに散見されている」と話した。

 各国のテレビ局は、女王の死去が報じられると、視聴率が上がったと伝えている。だが、報道が続くにつれ、反発する声も増えている。多くのソーシャルメディアユーザーが、女王関連の報道が実質的に他のニュースをかき消してしまったと苦言を呈している。

■「情報疲れ」

 パリのジャン・ジョレス財団(Jean-Jaures Foundation)のメディア研究部門に所属するフランス人ジャーナリスト、ダビド・メディオニ(David Medioni)氏は、英女王の報道をめぐる批判は、現代の報道業界においての「報道しないわけにはいかないが、あらゆるメディアが同じように報じる」というジレンマを如実に表していると話す。

 ニュースがあらゆる角度から報じ尽くされた後、視聴者は「何一つ有益なことも面白いこともなかったと感じるようになる」と指摘する。

 メディオニ氏は、複数のプラットフォームでニュース攻めにされるとストレスと消耗を感じる「情報疲れ」に関するアンケート調査を共同企画した。フランス市民を対象にしたもので、このほど結果が公開され、53%が情報疲れに悩んでいると回答した。