中国各地で誕生する「世界級」都市圏 経済底上げ図る
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【9月15日 東方新報】中国政府は近年、新たな大都市圏の「育成」に力を入れている。上海市を中心とした長江デルタ地帯や広州市(Guangzhou)中心の珠江デルタ地帯といった沿岸部の経済先進地域の他に、内陸部など各地に強大な経済圏を築こうとしている。
中国の国家戦略で司令塔の役割を担う政府機関、国家発展改革委員会は2019年、「現代都市圏の育成と発展に関する指導意見」を発表した。「都市圏」とは、地方の大都市を中核に周辺の都市を連携させて「世界級」の都市群を育成する構想。日本で言えば都府県をまたいだ首都圏や関西圏のイメージに近い。
国家発展改革委員会はこれまでに南京都市圏、福州都市圏、成都都市圏、長株潭都市圏、西安都市圏、重慶都市圏を承認している。江蘇省(Jiangsu)南京市(Nanjing)を中心とした南京都市圏は、2019年で1人当たりGDP(域内総生産)は11万3000元(約236万円)に達し、高所得国の水準に近づいている(日本の1人当たりGDPは2021年で約4万ドル<約579万4000円>)。2021年のGDPは4兆6665億元(約97兆6283億円)に上る。
四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)が中心の成都都市圏は2021年のGDPは2兆5000億元(約52兆3028億円)。1人あたりGDPは8万元(約167万円)台で中所得国並みの水準となっている。湖南省(Hunan)の長沙市(Changsha)、株洲市(Zhuzhou)、湘潭市(Xiangtan)を軸とした長株潭都市圏のGDPは2021年で1兆7900億元(約37兆4488億円)、福建省(Fujian)福州市(Fuzhou)が中心の福州都市圏は2020年のGDPが1兆5000億元(約31兆3817億円)、陝西省(Shaanxi)西安市(Xi’an)が中心の西安都市圏のGDPは2020年で1兆3000億元(約27兆1874億円)となっている。
中国最大の経済地域・長江デルタ地帯は国土面積ではわずか4%しかないが、2021年で中国のGDPの24.1%を占め、輸出入総額では36.1%の14兆1000億元(約294兆9875億円)に上る。
ただ、こうした先進地域は経済的に成熟した状況を迎え、これ以上の大きな発展は難しい。また、沿岸の大都市に人口が集中することも、都市の渋滞や環境問題、不動産価格の高騰などがより深刻化するため避けたいのが実情。そもそも中国では少子高齢化が予想以上に進み、今年中にも人口減少が始まる可能性がある。
14億人の国民生活を底上げするため、各地に一大経済圏を築き、国土の均衡ある発展を目指す必要がある。中国各地の自治体は積極的に都市圏構想を進めており、地域経済の活性化につなげようとしている。(c)東方新報/AFPBB News