【9月14日 AFP】スウェーデンの送電系統運用者「系統運用局(Svenska Kraftnat)」は13日、損傷した原子炉の修理が予定より長引いていることを受け、この冬に電力不足と停電が起きる可能性が高まっていると警告した。

 スウェーデン電力大手バッテンフォール(Vattenfall)は12日、国内の原子炉6基のうち1基について、修理が予定より2か月遅れており、再稼働は来年1月31日になると発表していた。

 系統運用局は、南西部にあるリングハルス(Ringhals)原子力発電所4号機の復旧の遅れについて、電力不足の「現実化するリスク」が高まっており、「この冬に電力の供給を停止せざるを得なくなるかもしれない」と述べた。

 スウェーデンは、電力輸入量を増やさなければ需要と供給のバランスを維持できなくなるが、近隣諸国に頼れない可能性がある。

 リングハルス原発4号機は8月、定期検査のため運転を停止したが、検査中に圧力容器が損傷し、再稼働できなくなった。バッテンフォールは当初、修理は11月までに完了すると見積もっていた。

 スウェーデンは電力の純輸出国だが、この10年で原子炉が次々と稼働停止となり、再生可能エネルギーの導入により電力供給の信頼性が低下したため、電力を輸入しなければならない時期もある。

 ロシアがウクライナ侵攻後にガスの供給を減らしたことによる欧州エネルギー危機が、状況をさらに悪化させている。

 スウェーデンは、すでに予備の石油火力発電所を稼働させているが、発電量の大半を水力(45%)と原子力(30%)、風力(17%)で賄っている。(c)AFP