【9月6日 AFP】ドイツのロベルト・ハーベック(Robert Habeck)経済・気候保護相は5日、年末に稼働停止する予定だった原子力発電所2基を、来年4月まで利用可能にすると発表した。ロシアによる欧州への天然ガス供給停止で生じているエネルギー危機を受け、方針を転換した。

 ハーベック氏は、電力供給網に関する新たな「ストレステスト」の結果を受け、既存の原発3基のうち2基を「必要に応じて」来年4月中旬まで稼働させると説明した。2011年の日本の福島原発事故を受けてアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)前首相が打ち出した脱原発計画の一部を延期する形となる。

 ドイツでは、ロシアのウクライナ侵攻により電力市場が混乱。ロシアによる欧州への天然ガス供給の削減などを理由に電力料金が高騰している他、夏の干ばつにより川が干上がったことで燃料の輸送に支障が生じている。ハーベック氏は、「戦争と気候変動が深刻な影響を及ぼしている」と指摘した。

 原発2基は、再生可能エネルギーの開発が遅れている南部での電力不足に備えた予備電源として利用される予定。だがハーベック氏は、そうした状況は「極めて起こりにくい」とし、ドイツは「非常に高い供給安全性」を維持していると言明。ドイツの脱原発方針は変わらず、年末までに全原発を送電網から切断する計画だとした。(c)AFP/Sebastien ASH