【9月14日 AFP】ウクライナ軍は最近、同国に侵攻したロシア軍に対して目覚ましい戦果を挙げている。戦略専門家はAFPに対し、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領がウクライナによる反攻への対処を迫られているものの、その次の動きを予測するのは難しいと語っている。

 ウクライナ軍はロシア軍から数千平方キロに及ぶ領土と複数の町を奪還しており、戦場での主導権を握っているようにもみえる。ウクライナ政府関係者の一部はすでに、自国が勝利する可能性にも言及している。

 同国のオレクシー・レズニコフ(Oleksii Reznikov)国防相は12日、仏紙ルモンド(Le Monde)に対し、最近の戦果は「雪だるま式にどんどん膨らんでいく」との自信を表明。「世界で2番目に強い(ロシア)軍の退却を見ることになるだろう」と語った。

 だが専門家は、こうした見方は時期尚早かもしれないと指摘している。

 ロシア国防省のイーゴリ・コナシェンコフ(Igor Konashenkov)報道官は12日、ロシア軍がウクライナに奪還された東部地域を爆撃しているとし、ロシアは「目的が達成されるまで」戦い続けると宣言。ロシアは13日、ウクライナの前線で「大規模」な攻勢を開始したと発表した。

■最近の戦果は「戦術的なものにすぎない」

 エルサレム安全保障戦略研究所(JISS)のアレクサンダー・グリンバーグ(Alexander Grinberg)氏は、ロシア軍が実際に大規模な動きに出る可能性は高いと予測。最近のウクライナ軍の戦果について「目覚ましいが、戦術的なものにすぎない」と指摘した。

 エストニア外交政策研究所(FPRI)のイバン・クイシュチ(Ivan Klyszcz)氏は、ウクライナ軍が攻勢を永続的に維持することはできないと警告。「ウクライナ軍は特にロシアとの国境沿いを強化する必要が出てくる」と述べた。

 他方、国内世論を気にかけるプーチン氏が取れる選択肢は「限られている」という。「プーチン氏はこれまで、ロシアの徴集兵動員を避けてきた。動員に踏み切れば国民への要求が大きく増加し、(社会が)一層不安定化する恐れがある」とクイシュチ氏は説明。一方で「ロシア軍の完全撤退という選択肢も、軍や国民が何らかの勝利を期待している以上、リスクが高い」と分析している。