【9月8日 AFP】交通渋滞がひどいことで知られるインドネシアの首都ジャカルタで、公共交通機関の利用を促すため、「ゾンビ」列車イベントが先月から行われている。

「終末行き列車(Train to Apocalypse)」と銘打たれたイベントは、軽量高架鉄道(LRT)の列車内と駅にゾンビが跋扈(ばっこ)する設定。2016年公開の韓国ホラー映画『新感染 ファイナル・エクスプレス(Train To Busan)』に着想を得ている。

 イベントは、LRTを運行するLRTジャカルタ(LRT Jakarta)とイベント会社パンドラ・ボックス(Pandora Box)によるもので、今月11日まで。料金は6万~7万ルピア(約580~670円)。

 ショーは1回20分。通常の利用者の妨げにならないように配慮されており、一般利用者もショーを垣間見ることはできる。

 2019年12月に運行が開始された比較的新しい交通機関であるLRTの宣伝と、若者に公共交通機関の利用を促進する狙いがある。

 イベントでは、ゾンビに扮(ふん)した役者が足を引きずって近づいてくると、乗客は駅の暗いトンネルを抜けて列車に走り乗る。

 血が飛び散っている車内では、アナウンサーが、感染するとゾンビになる「パンドラ」ウイルスがジャカルタ各地に広がっているとのニュースを伝えている。

 偽物のライフル銃を持った兵士が「ゾンビ」と戦い、乗客を安全な場所まで連れて行く。

 赤い非常灯が点滅する駅構内には「危険、ゾンビ注意」と書かれた標識が張られている。

 パンドラ・ボックスのビリー・ジュニア(Billy Junior)最高経営責任者(CEO)は「公共の交通機関を使うのは、かっこいいことだと若者に伝えたい」とAFPに語った。

 3000万人超の人口を抱えるジャカルタ首都圏は、世界でも有数の交通渋滞で知られており、大気汚染も深刻だ。

 LRTの開業当時には、新しい鉄道と割安な料金だけでは、自家用車から乗り換える人は少ないとの声も上がっていた。(c)AFP/Dessy Sagita and Agnes Anya