【8月31日 AFP】ドイツ交通事業者連合(VDV)は30日、今夏導入された電車やバスが乗り放題となる格安チケットのおかげで二酸化炭素排出量(CO2)が200万トン近く削減できたと明らかにした。

 中道左派主導の連立政権は6月、インフレ抑制策の一環として、月額9ユーロ(約1250円)で全国のバスや地下鉄、地方鉄道が乗り放題となるチケットを導入した。

 VDVは8月末で終了する9ユーロチケットについて、CO2排出量180万トンの削減になったと説明。これは自動車約38万8000台分の年間排出量に相当する。

 VDVが毎週6000人を対象に実施した調査によると、チケット利用者の10人に1人が外出の際、少なくとも週に1回は自動車の代わりに公共交通機関を利用したという。

 チケットは計5200万枚を売り上げた。定期券を購入済みの1000万人も格安チケットの恩恵を受けた。

 オラフ・ショルツ(Olaf Scholz)首相は「(自政権が実行に移した)最も素晴らしいアイデアの一つ」と自画自賛し、キャンペーンの期間を延長できないか協議すると約束した。

 インフレ終息の兆しが見えない中、秋以降も措置を続けるべきだとの声が高まっている。

 しかし、クリスティアン・リントナー(Christian Lindner)財務相は反対を表明。延長すれば国庫負担は「140億ユーロ(約1兆9400億円)を超える」と警告した。

 ショルツ氏が属する社会民主党(SPD)は、月額49ユーロ(約6800円)のチケットを提案したと報じられている。

 論争が長引く気配を見せる中、一部地域は独自の追加措置を取っている。たとえば首都ベルリンは10~12月、市内の公共交通機関を乗り放題とする月額9ユーロチケットを販売する計画を示唆している。(c)AFP