【9月7日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)政権は6日、ロシアを「テロ支援国家」に指定しない方針を明らかにした。ウクライナや米議員らが指定を求めていたが、カリーヌ・ジャンピエール(Karine Jean-Pierre)大統領報道官は、「ロシアに責任を負わせる」上で「最も効果的または強力な道筋ではない」との考えを示した。

 ロシアのテロ支援国家指定をめぐり、政権幹部は数か月にわたって明確な回答を避けてきた。これについてバイデン大統領は5日、記者団の問いに「ノー」と答えていた。

 報道官は、ロシアをテロ支援国家に指定すれば、ロシアの侵攻で荒廃したウクライナの一部地域への支援物資の供給が妨げられたり、国連(UN)とトルコが仲介したウクライナの港からの穀物輸出協定に支援団体や企業が参加できなくなったりする可能性があると指摘。「(ロシアのウラジーミル・)プーチン(Vladimir Putin、大統領)に責任を取らせる上で非常に効果的な前例のない多国間(連携)を弱め、われわれの(交渉を通じて)ウクライナを支援する能力も損ないかねない」とした。

 ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長ら超党派の議員グループは、経済制裁を科してきたロシアへの圧力をさらに強めるためとして、バイデン氏にテロ支援国家指定を求めてきた。

 米国によるテロ支援国家指定はさまざまな影響を及ぼす。企業や銀行としては、世界一の経済大国である米当局による法的措置を警戒し、リスクを取れなくなる。

 現在指定されているのはイラン、シリア、北朝鮮、キューバの4か国のみで、いずれも経済規模はロシアと比べてはるかに小さい。(c)AFP