【9月6日 CNS】ハリウッドの名作映画『ナイトミュージアム(Night at the Museum)』が世界を魅了し、今や世界の多くの博物館で夜間開館が定番となり、多くの中国人にとって夜の博物館巡りは趣味の一つとなっている。

 2019年、北京の故宮(紫禁城、Forbidden City)で開催された「紫禁城上元(元宵節、旧暦の1月15日)の夜」というイベントでは、「清明上河図(中国北宋の都開封の都城内外の殷賑の様を描いた画巻)」が宮廷の塀に輝く様子を見るために、観客の熱気で、一時はチケット販売サイトがダウンしてしまった。

 中国国家博物館の陳履生(Chen Lvsheng)元副館長は、著書「博物館の美」の中で、「夜の博物館は昼間とは違う静けさと視覚的な雰囲気があり、特別なものだ。このような特別な体験は来場者にとって非常に魅力的だ」と記している。

 今年6月に杭州市(Hangzhou)にオープンした浙江自然博物院の「24時間博物館」は、まさに「ネット人気」観光スポットだ。この「24時間博物館」は、同博物院が設けた300平方メートルの小さな文化空間で、月曜から金曜は午前10時から翌日午前0時まで、土曜と日曜は24時間営業している。試験営業の初日には、午後3時から翌日午前0時までの9時間に700人以上の来場者が訪れた。

 今年7月、北京市文化観光局は、夏の「夜の京城」を明るくするために、北京地区の博物館が開館時間の延長などを実施するとの通達を出した。また、各博物館は館内の状況に応じて、開館時間の延長や、夜の部の文化活動の実施、計画的な活動に基づく夜の受け入れの適切な手配を行うとされている。通達が出された後、北京石刻芸術博物館(Beijing Stone Carving Art Museum)、北京古代建築博物館、北京周口店北京人遺跡博物館(Zhoukoudian Site Museum)などが、それぞれ独自のナイトツアーを開始した。

 北京自然博物館は8月に、今年の「ナイトミュージアム」を開催したばかりだ。期間中、毎日午後7時に観客は入場し、「博物旅券のチェックイン」「専門家やスターボランティアによる解説」「教育活動に一緒に参加」「博物の夜話――ここは北京」の四つのセクションからなる複数の活動に参加することができる。

「夏の夜に博物館訪問の機会を増やすことで、博物館の魅力を体感していただくとともに、開館時間の延長や公共サービスの充実を図りたいと考えている」と、北京自然博物館の科学普及教師、副研究館員の王珊(Wang Shan)さんは述べた。

 博物館の夜巡りを選ぶ中国人が増えているのは、近年の中国の文化・博物館ブームの縮図でもある。2019年、故宮博物院の入場者数は1933万人を超え、世界最多となった。中国国家文物局の統計によると、2021年の中国の博物館の入場者数は、新型コロナウイルスの影響にもかかわらず、延べ7億7900万人だったという。

 この10年間で、中国の博物館の数も3866から6183へと増え続け、そのうち91%が無料で公開され、25万人に1か所の博物館という目標達成に向けて順調に進んでいる。北京市、西安市(Xi’an)、南京市(Nanjing)、成都市(Chengdu)、広州市(Guangzhou)など10余りの都市が、「博物館の都市」の建設に取り組んでおり、西安市、成都市、青島市(Qingdao)では博物館の数が100か所以上に達している。(c)CNS/JCM/AFPBB News