湖も干上がり…観測史上最悪の酷暑で秋の収穫に懸念 中国
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【9月5日 東方新報】全国各地で最高気温が40度を超え、正確な観測記録が残る1961年以降で最も暑い夏を迎えている中国。干ばつも相次ぎ、今年の秋の収穫が懸念されている。
中国の長江(揚子江、Yangtze River)流域は、夏になると増水による洪水が問題になるが、今年は水量が枯渇し、「逆乾期」と言われている。
江西省(Jiangxi)にある中国最大の淡水湖・ハ陽湖(Poyang Lake)の水はほとんど干上がり、湖底の草がむき出しの「大草原」状態となった。湖に浮かぶように立つ観光名所の寺院・落星墩は全体の姿を現し、湖底を車で走って観光客が訪れている。65歳の住民、査さんは「生まれてこのかた、こんな風景は見たことがない」と驚く。
湖面の面積は3割にまで減少し、農業や生活用水が不足。江西省だけで278万人が影響を受け、農作物の被害は約24億元(約488億円)に及んでいる。
中国では、年間穀物生産量の75%が秋に収穫される。その穀物の生育にとって重要なのが夏の天候だ。中部では稲の穂が育ち、トウモロコシの収量を決める季節を迎えているが、酷暑と干ばつがダメージを与えている。
中国はコメ、小麦、トウモロコシの95%以上を自給しており、収穫量が激減すれば輸入に頼らざるを得ない。ウクライナ情勢により圧力を受けている世界の食料供給がさらに悪化する恐れがある。中国メディアは「秋の収穫まで2か月」「あと50日」とカウントダウンのように秋の収穫危機を報じている。各地の自治体は農業技術者の専門チームを農村地帯に派遣し、干ばつ対策や早期収穫の指導に追われている。
国家減災委員会の鄭国光(Zheng Guoguang)事務局長は「1961年以降で最悪の猛暑を迎えた上、今年は沿岸部や南部への台風の上陸も少ない。中南部の干ばつが深刻となっており、秋の収穫が減少する地域も出るだろう」と説明。
ただ、昨年秋の降雨量が多かった北部と東北部では土壌の水分が良好で、今年も天候が比較的安定していることから「この地域の収穫が見込めるため、全国的には食料生産量が深刻に不足することはない」と説明している。(c)東方新報/AFPBB News