【9月3日 AFP】(更新)ロシアの国営天然ガス大手ガスプロム(Gazprom)は2日、ロシア産天然ガスをドイツへ供給するパイプライン「ノルドストリーム(Nord Stream)」について、保守点検で主要機器に問題が見つかったことから、修理のため稼働再開を延期すると発表した。ロシアからドイツへのガス供給は無期限で停止されることになり、欧州のエネルギー危機がさらに悪化する見通しだ。

 同パイプラインは、ロシア第2の都市サンクトペテルブルク(St. Petersburg)近郊からバルト海(Baltic Sea)を経由してドイツへとガスを輸送するもので、ガスプロムの主要供給路となっている。保守点検のため3日間停止されていたが、3日に再稼働する予定だった。

 ガスプロムは、独電機大手シーメンス(Siemens)と共に行った点検で、同社製タービンからの「オイル漏れ」が見つかったため、修理が完了するまで「ノルドストリーム経由のガス供給は完全に中断する」と説明。メッセージアプリのテレグラム(Telegram)に、茶色の液体に覆われたケーブルの写真を投稿した。

 だがシーメンス傘下のシーメンス・エナジー(Siemens Energy)は、オイル漏れは「稼働停止の技術的理由にはならない」と説明。「こうした漏えいは通常、タービンの稼働に影響せず、現場でふさぐことができる」としている。

 ロシア大統領府は同日、部品の不足により同パイプラインの今後の稼働が危ぶまれていると警告していた。ロシアはウクライナ侵攻をめぐり各国から科された制裁を受け、欧州へのガス供給を削減・停止しており、エネルギー価格の高騰を招いている。

 ロシアは、ノルドストリーム経由のガス供給削減について、カナダで修理中だったシーメンス製タービンの返還が欧州の制裁により妨げられたことが原因だと非難。一方、現在タービンを保有しているドイツは、ロシアが返還を妨害していると主張している。(c)AFP