【8月30日 CNS】中国南部の広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)南寧市(Nanning)青秀区(Qingxiu)にある緑地中央広場。毎日午後5時ごろ、25歳の阿文(Awen)さんは赤と白の改造バンを運転して広場の「トランクマーケット」を訪れる。車のトランクを開いて「店舗」にして飲み物を売り、いすに座って客を待つ。顔見知りとなった人たちとのおしゃべりも楽しい。夏の夜のそよ風と気の利いた音楽が流れる中、トランクマーケットは夜遅くまでにぎわいを見せている。

 中国で浸透する「夜間経済」とキャンピングブームに乗って、徐々に広まっているのが「トランク起業」だ。中国西部の西安市(Xi’an)、東部の南京市(Nanjing)、中部の武漢市(Wuhan)、西南部の成都市(Chengdu)など各地でトランクマーケットがにぎわい、トランク店舗用の看板やライトもECサイトでよく売れている。

 車を自分好みに装飾して飲み物や軽食、衣料品、アクセサリーなどを販売する。駐車料金も安価。低いハードルで「自分の店」を出せることに、多くの若者がトライしている。

 トランク店舗を構える覃瑩瑩(Tan Yingying)さんは「仕事がコロナ禍の影響を受けているので、彼氏と一緒に副業で始めました。ケーキや飲み物を売っていて、売り切れたら午後9時に閉店、人が少ないと午前1時すぎまで営業しています」と話す。

 覃さんにとってトランク起業は生活の糧であり、夢でもある。「生活のためお金が必要ですが、将来はミルクティーやコーヒーの店を出したいんです」

 トランク企業は決して高収入とはいえないし、雨が降れば閉店するしかない。阿文さんは「客が多い日で1日の売上高は100元(約1994円)ちょっと。人が少ないと数十元にすぎない。材料の準備に1日5時間を費やすので、売り上げは満足のいくものではないですね」と打ち明ける。飲料が完売しなければ材料を捨てるしかなく、コストもかかる。「今は仕事を探しているので、趣味のつもりでトランク起業をしています。もう少し経済環境が良くなったら、フルタイムの仕事を探します」と話している。(c)CNS-中国青年報/JCM/AFPBB News