【8月28日 AFP】ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトム(Energoatom)は27日、南東部のザポリージャ(Zaporizhzhia)原子力発電所がロシア軍の砲撃を受け、放射性物質が拡散する恐れが生じていると発表した。

 エネルゴアトムはメッセージアプリのテレグラム(Telegram)で、ロシア軍が終日、原発を「繰り返し砲撃した」とし、「断続的な砲撃により発電所のインフラが損傷し、水素漏れや放射性物質拡散の恐れがある。火災の危険性も高い」と警告した。

 これに対し、ロシア国防省は、ウクライナ軍がドニエプル(Dnieper)川対岸の町マルハネツィ(Marganets)から「3回にわたり発電所の敷地を砲撃した」と主張。砲弾が核燃料や放射性廃棄物の貯蔵施設の近くに着弾したとして、ウクライナ側は「核テロ」を仕掛けていると非難した。

 原発の放射線レベルは「正常だ」としている。

 欧州最大級のザポリージャ原発は、3月初めからロシア軍に占拠されている。原発付近ではロケット砲などによる攻撃が相次いでおり、ウクライナ・ロシア両政府は互いに相手の攻撃だとして非難を繰り返している。

 英国防省によると、ザポリージャ原発に展開するロシア軍部隊は増強しており、衛星画像では原子炉1基から60メートル以内に装甲兵員輸送車が確認できたという。(c)AFP/Joe STENSON