【8月21日 AFP】アルジェリア北東部で17日に発生した森林火災により、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)に認定された生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)の10%以上が焼失し、少なくとも38人が死亡した。現地の専門家が20日、AFPに明らかにした。

 エルカラ生物圏保存地域(El Kala Biosphere Reserve)の責任者を務めた経験のある森林学者のラフィク・ババ・アフメド(Rafik Baba Ahmed)氏は、「被害面積は約1万ヘクタールに及ぶ」と述べた。

 北東部では森林火災が17日から猛威を振るっていたが、消防当局は20日、おおむね鎮火したとしている。

 ユネスコによると、同保存地域の総面積は7万6000ヘクタール強。バーバリーアカシカの最後の楽園とされ、毎年冬には6万羽を超える渡り鳥が飛来する野鳥の宝庫でもある。

 ババ・アフメド氏は、エルカラについて「地中海沿岸屈指の生物多様性保護区」で「たぐいまれな生物学的な豊かさ」に恵まれていると指摘。しかし、たびたび火災に見舞われており、将来は「非常に悲観的」だと語った。

「火災によって森林の力が弱まり、害虫や、特に人間の活動に対して脆弱(ぜいじゃく)になった」結果、生物相が失われつつあるとしている。

 アルジェリア市民防衛局は19日夜、全土で6月1日以降に森林火災が1242件発生し、5345ヘクタールが焼失したと発表していた。これに対し、ババ・アフメド氏は、発表された焼失面積は実際とかけ離れていると批判した。

 市民防衛局は20日、西部トレムセン(Tlemcen)でも2か所で山火事が発生し、消火活動が行われていることを明らかにした。(c)AFP