【8月20日 AFP】猛暑のため、例年よりずっと早いタイミングでブドウの収穫が始まったフランス各地のワインメーカー。異常気象の影響で、ブドウの品質が低下するのではと不安を隠せない。

 異常な乾燥は、地中海沿岸エロー(Herault)県の丘陵地帯から、通常は緑豊かな北東部アルザス(Alsace)地方にまで広がっている。

 今夏の激しい熱波でブドウの成熟が早まり、収穫のタイミングは例年よりも1~3週間以上前倒しとなっている。エロー県のあるラングドックルシヨン(Languedoc-Roussillon)地方では、7月下旬に収穫を始めた農家さえある。

「過去30年以上やってきて、8月9日に収穫を始めたことなんてこれまでに一度もありません」とエロー県のブドウ園オーナー、ジェローム・デスペイさんは話した。

■水ストレス

 フランスのその他の農業と同様、ワイン醸造業も春の霜やひょう、季節外れの豪雨といった異常気象に長年悩まされてきた。そして、その頻度は年々高まっている。

 しかし、今夏の記録的な干ばつと暑さは、ブドウ園にとりわけ大きな被害をもたらしている。先月は、1961年以降で最も乾燥した7月となった。

 水分が不足すると「水ストレス」が起き、ブドウは葉を落として実に栄養分を供給しなくなる。成長を止めることで自らを守るメカニズムだ。

 アルザス地方のブドウ農家組合のジル・エルハート会長は「ここ2か月に雨は一滴も降っていません」と話す。

 また、26日ごろから始まる収穫については、「今年の収量は非常に少なくなるでしょう」とした。

 気温が38度を超えると「ブドウは日焼けし、干し上がってしぼみ、質も落ちる」と指摘するのは、リヨン(Lyon)南方アルデシュ(Ardeche)県で「地理的表示保護制度(PGI)」の会長を務めるピエール・シャンペティエール氏。その結果、ワインのアルコール度数が高くなり、規定値を超えてしまうと説明した。

 シャンペティエール氏は今年の収穫を8日に始めた。

「40年前は、9月20日ごろから(収穫を)行っていた」と言う。地球温暖化の影響で、こうした時期尚早の収穫が今後は「当たり前」になるのではと不安を隠せない様子で語った。(c)AFP/Clara LALANNE