【8月18日 AFP】英スコットランドのテーサイド(Tayside)地方で17日、初代「生理の尊厳担当官」に男性が任命され、激しい反発が広がった。女子テニスの元スター選手マルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏はこの決定を「ばかげている」と呼んだ。

 スコットランドで初めて設置された「生理の尊厳担当官」に任命されたのは、エディンバラの北にあるダンディー(Dundee)市出身のジェイソン・グラント(Jason Grant)氏。生理用品の無償提供を推進するほか、閉経をめぐる問題についての議論も求められる。

 四大大会(グランドスラム)の女子シングルスで18回の優勝経験を持つナブラチロワ氏は、男性の「生理の尊厳担当官」任命を受けて、「私たち(女性)が男性にひげのそり方や前立腺のケアなどを説明しようとしたことがあっただろうか? こんなのばかげている」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 英ラジオ局LBCスコットランド支局政治部のジーナ・デビッドソン(Gina Davidson)記者は、娘を連れた女性と生理用品について話すグラント氏の写真が公開されたことを受けて、任命を「マンスプレイニングの典型」と評した。マンスプレイニングとは、「女性は男性よりも知識がない」というジェンダー的な偏見に基づき、男性が女性を見下したような態度で物事を説明する行為のこと。

 コラムニストで女性の権利活動家でもあるスーザン・ダルゲティ(Susan Dalgety)氏は「なぜ男を任命することが良い考えだと思ったのか、理解できない」とツイートした。

 グラント氏は就任に当たりコメントを発表。「男性であることは障壁を取り除き、偏見を減らし、より開かれた議論を促すのに役立つと思う」「生理の影響を直接受けるのは女性だが、全員にとっての関心事だ」と述べた。(c)AFP