■唯一の女性メンバーとして

 2010年に初めて音楽の道に進もうと思い立った時、中央アフリカには女性のスターがいなかった。男性の領域に果敢に挑んでスターとなったフランスのラッパー、メラニー・ゲオルギアディス(Melanie Georgiades)に憧れ、男性ばかりのラップグループ「MC Fonctionnaire」に唯一の女性メンバーとして加わった。貧困と不平等を糾弾する革命的なグループだった。

 だが、始まったばかりのキャリアは、数年で行き詰まってしまった。イスラム反政府勢力を中心としたフランソワ・ボジゼ(Francois Bozize)政権の転覆を機に、内戦が始まったのだ。

「外出ができなくなりました。撃たれたり、誘拐されたりするのが怖かったのです」とクール・ファワは言う。

■キャリア再開

 内戦が下火になった後、彼女はキャリアを再開させた。歌は恋愛をテーマとするものが多くなった。

 今は隣国カメルーンでのレコーディング費用を稼ぐため、靴やバッグを輸入販売する小さなビジネスを妹と営んでいる。当面の目標はファーストアルバムのリリースだ。

 高校の英語教師をしている母親のセシル・ヨーラムさんは「周りからはよく娘のやっていることを批判されます」と語る。「でも娘の歌声が聞こえると、誇らしく感じるのです」 (c)AFP/Barbara DEBOUT