■台湾にアピールする「一国二制度」の看板

 中国に最も近い有人島で、小金門(Little Kinmen)と呼ばれる烈嶼(Lieyu)でも、台湾の観光客が昔の要塞(ようさい)から望遠鏡で対岸のアモイ(Xiamen)に立てられた看板を見ていた。「一国二制度、統一中国」というスローガンが見える。

 このスローガンは、1997年に香港が英国から中国に返還される前に、中国が香港に一定の自由と高度な自治を約束したことを台湾の人々にアピールするためのものだ。

 だが、台湾では大多数が長年、この統一モデルを拒否してきた。中国政府がこの3年間、大規模な民主化運動が起きた香港の政治的自由を粉砕してきた様子を目の当たりにした今ではなおさらだ。

 望遠鏡でなかなか看板を見つけられなかったガイドが冗談で、中国がスローガンを「武力行使、中国統一」に変えたからかもしれないと言うと、観光客の間に笑いが起きた。

 元兵士のリンさんは、必要があれば戦う覚悟はあると話した。

「私たちが台湾を守らなければ、誰が守ってくれるというのでしょう。私たちの民主主義は掛け替えのないものです」 (c)AFP/Amber WANG