有名人や当局も閉口? 注目集めるフライト追跡情報
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■セレブの「17分間フライト」も追跡
スウィーニー氏は、ADS-Bエクスチェンジのデータを用いたツイッターアカウントを複数持っている。あるアカウントでは、米モデルのカイリー・ジェンナーさんの飛行機が、7月にカリフォルニア州を飛び立ち、わずか17分間飛行したという情報が公開された。
これを受けてジェンナーさんに対し、気候変動問題に絡めた批判が殺到。あるツイッターユーザーは「私たち労働者階級は、休暇で年に一度飛行機を使うのにも罪悪感を覚えるよう仕向けられているというのに、セレブはまるで(配車サービスの)ウーバー(Uber)を利用するかのように、一日おきにプライベートジェットに乗っている」と投稿した。
最近では、ペロシ下院議長が中国の警告を無視して訪台するかどうか、何十万人もの人々が注視していたことにも表れているように、フライト追跡サービスの情報は、セレブや富豪をへきえきさせるだけにとどまらず、はるかに大きな影響を与える可能性を秘めている。
例えば、ADS-Bエクスチェンジのデータは、欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス、Frontex)が移民の地中海横断を阻止したと主張するNPOの報告書に記載された。
また米メディアは、2020年に首都ワシントンで人種差別への抗議デモが行われた際、偵察機が上空を飛行していた証拠として、フライト情報を引用した。
この報道がきっかけで、米議会の議員数十人が、連邦捜査局(FBI)や州兵などの政府関連機関に対し「平和的な抗議活動の監視を即刻、永久に中止する」よう要求する書簡に署名することにつながった。
さらには、この追跡技術と情報を歓迎しない姿勢を明示している政府もある。中国国営メディアは昨年、政府が「スパイ行為」の危険性を理由に、フライト追跡に用いられた受信機数百台を押収したと報じた。
ストゥルファート氏は、「こういった情報の開示を好まないのは、多くの場合、独裁政権だ」と述べている。(c)AFP/Joshua MELVIN