有名人や当局も閉口? 注目集めるフライト追跡情報
このニュースをシェア
【8月18日 AFP】ロシアの航空貨物輸送企業、富豪のイーロン・マスク(Elon Musk)氏、中国当局、モデルのカイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)さん。皆まとめて閉口させるにはどうすればいいか。「航空機を追跡すればいい」というのが答えだ。
航空交通状況は、フライト追跡サイトやツイッター(Twitter)上でリアルタイムで提供されている。時には、米国のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長の台湾訪問のような重大ニュースも生まれる。だがこのような情報公開は反発も招き、苦情が出たり、機器が押収されたりすることもある。
米国に拠点を置くフライト追跡サイト「ADS-Bエクスチェンジ(ADS-B Exchange)」を立ち上げたダン・ストゥルファート(Dan Streufert)氏によると、同サイトはロシアの空輸企業やサウジアラビアの航空機所有者からのものを含め、航空機の所在に関する情報掲載をやめるよう、年に何十件もの「要請」を受けるという。
それでも同氏は「これまでのところ削除した情報はない。全て公の情報だ」と話す。
制限が適用されるケースも一部あるとはいえ、ライト追跡を行う事業者などは、核となる情報源は合法的にアクセス可能で、適切な機器さえあれば誰でも利用できると指摘している。
米国では規則により、指定地域内を飛行する航空機に対し、位置情報を送信するADS-B(放送型自動従属監視)技術を用いた機器の搭載が義務付けられている。ADS-B信号は、比較的簡易な装置で受信することができる。
スウェーデンの航路追跡サイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」は、世界中に受信機3万4000台を設置し、信号を受信しているが、その大半はボランティアが運用している。これが重要な情報源となり、データは中央のネットワークに集められ、フライトスケジュールや航空機情報と合わせて処理される。
ジェット機を追跡するジャック・スウィーニー(Jack Sweeney)氏によると、航空機の所有者の特定にはある程度の調査が必要になる。同氏はある航空機の所有者を確認するため米政府に公文書請求を行い、米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)の最高経営責任者(CEO)であるマスク氏の署名入り文書を入手した。
スウィーニー氏は、マスク氏の航空機を追跡するツイッターアカウントで大きな注目を集め、フォロワーは48万人超に上る。マスク氏本人から、このアカウントを停止すれば5000ドル(約70万円)を提供するという申し出があったが、これを拒否したという。
「ここまで注目されるということは、自分は何か正しいことをしているのだと思う」と語るスウィーニー氏。注目される理由については、人々のセレブへの興味に加え、航空機の温室効果ガス排出量に対する関心の高さを挙げている。