【8月9日 AFP】ノルウェーの北極圏にあるスバルバル(Svalbard)諸島で8日、フランス人の女性観光客がキャンプ場に進入したホッキョクグマに襲われ負傷した。当局が明らかにした。命に別条はないという。

 女性は40代で、当時キャンプをしていた25人のうちの一人。女性の身元や、クマに襲われた経緯の詳細は明らかにされていない。

 地元警察がAFPに明らかにしたところによると、クマは午前8時半ごろにキャンプ場に進入。女性は腕にけがをし、ヘリコプターで中心都市ロングイェールビーン(Longyearbyen)の病院に搬送された。病院の広報担当者によると、軽傷だという。

 クマは発砲を受け、現場を立ち去った。その後発見されたが、けがの程度が大きかったため、安楽死させられた。

 スバルバル諸島は北極点から1000キロ余りに位置し、総面積はベルギーの国土の2倍に相当。市街地から離れる際には、ホッキョクグマとの遭遇に備えてライフルの携行が義務付けられている。

 ホッキョクグマは1973年以降、保護種に指定されている。2015年の時点で、スバルバル諸島での生息数は約1000頭だった。同諸島では71年以降、6人がホッキョクグマに襲われて死亡しており、直近では2020年にオランダ人男性(38)が犠牲になっている。

 専門家によると、地球温暖化による海氷の減少により主食のアザラシが捕獲しにくくなったことで、ホッキョクグマが食べ物を求めて人里に接近する事例が増えている。(c)AFP